MDSで白血球増加?

どーも、風邪ひいてます、ちゃんまんです。

先日貧血と血小板減少、白血球数増加を契機にMDSと診断された患者さんがいました。白血球増加になんとなく違和感がありましたので調べてみました。

再生不良性貧血や骨髄異形成症候群など骨髄疾患で不明点が出たら以下のサイトで調べること多いです。アップデートもあっておすすめです。

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業
特発性㐀血障害に関する調査研究班のHP

http://zoketsushogaihan.umin.jp/resources.html

骨髄異形成症候群の資料を拝借しますと400症例から算出した抹消血所見がありました。

p27. 表11

白血球数は1500~10500/μL程度が多いということですね。その患者さんは13000/μL以上だったのでなんとなく感覚は正しかったのかなというところです。

病態としては2パターン考えられるのかなと思います。

一つはFLT3やRasなどのドライバー変異が加わっている状況です。時系列で見ると徐々に白血球数が増加しておりその可能性はありそうです。末梢血では芽球ではなく幼弱な白血球がメインで増えてましたし、骨髄中の芽球は20%以下で、leukemic changeではない印象です。

もう一つは線維化を伴うMDSやMDS/MPN-UのようにMPN要素があるパターンです。上記ダウンロード資料でも線維化を伴うMDSについては言及しており骨髄線維症との鑑別を要するとの記載があります。

p18, 表9

また、MDS/MPN-UはMDSとMPNのどちらの特徴も併せ持つ、しかしどちらにも属せない、という疾患概念です。診断基準としては

①臨床所見、検査所見および形態学的にMDSのうちのいずれかの病型と合致すること

②骨髄増殖の所見を認めること(巨核球の増加を伴った血小板増加(45万/μl以上)もしくは白血球数>
13,000/μl、巨脾)

③de novoであり、MDS、MPN、MDS/MPNのどのカテゴリーにも一致しないこと

が挙げられています。http://www.med.osaka-cu.ac.jp/labmed/index.html 参照(大阪市立大学血液腫瘍制御部HP)

頻度はかなりまれですが予後は悪いとされています。

どちらが正しいかはわかりませんが遺伝子の情報がさらなる鑑別を進めてくれそうですが網羅的な解析はできておりません。今後はもう少し簡易的に調べることができるようになるのでしょうか。ちなみに患者さんはビダーザを開始され、若年者であることから移植に向けての準備も予定されています。

では、グラシアス。

肝障害を伴っている急性骨髄性白血病に対する同種造血幹細胞移植の前処置についての考察

どーも、久しぶりに更新します、ちゃんまんです。

前の自分のページを読み返すととても読みにくくて落ち込みました。しかし続けることでうまくなると思い直して再開です。

ここで症例提示です。

高リスクMDS(ほぼAML)の患者。年齢は60代でありCR1での移植を考えています。C型肝炎に対する治療歴があり肝機能に難あり(ChEは150程度)。

CR1獲得したとして前処置はどうしましょう。ドナーソースはおそらく子供からのHaplo移植を考えています。RICとしてもBUは肝障害から使いにくいですかね、、、

骨髄球系腫瘍の移植の前処置はFlu+Bu2などブスルファン含有レジメン!と思っていたのですがそうでもなさそうです。トランプのデータからAMLに対してですがFlu+Melもありという報告がありましたので紹介します。

Reduced-intensity stem cell transplantation for acute myeloid leukemia with fludarabine-based conditioning with intravenous busulfan versus melphalan

Bone Marrow Transplantation (2020) 55:1955–1965

症例はトランプに登録された初回alloに対してRICを実施された患者が対象。

2001年から2010年までということもありレジメンはFlu+経口BU, Flu+静注BU, Flu+Melの3つの違いの検討でした。

昔は内服だったのですね。(リンクは2006年日経メディカルの静注ブスルフェクス登場の記事)

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200611/501745.html

解析対象は1221人、Flu+経口BU, Flu+静注BU, Flu+Melを実施された症例数はそれぞれ444, 347, 430でした。意外とFlu+Melでやっている人が多いなと思いました。

基本はFlu+ivBUとFlu+Melの比較です。

結果はOSは変わらないが、Flu+Melは再発率が低く、NRMが高い、というものでした。GVHDもFlr+Melで多かったです。

移植学会、もとい日本造血免疫治療法学会のガイドラインでもあまり骨髄系腫瘍だからBUを使うという記載はありませんでした。

以下引用

ただ、SOS(最近はVODでなくSOSが主流みたいです)の観点から考えるとPYCyならBUでもMelでもダブルアルキレーターになってしまうのが難点です。さらにC型肝炎の既往はSOSのリスクなのでとりあえずBUは避けた方が良さそうです。

奥が深いです。では。

t(8;21)AMLにおいてはMRDも大事だけど寛解導入療法も大事、中国では

どーも、れんちゃんまん、ちゃんまんです。

今回は中国からのt(8;21)AMLについての報告。

Optimized clinical application of minimal residual disease in acute myeloid leukemia with RUNX1−RUNX1T1

Experimental Hematology 2021;96:63−72 

背景

RUNX1-RUNX1T1を有する急性骨髄性白血病において、PCRでモニターした微小残存病変(MRD)レベルは予後と関連している。本研究の目的は、MRD減少量とコピー量の予測値を定量的に比較し、MRDに対する他の予後因子の影響を評価することとした。

治療・患者

2010年9月から2019年4月までに新規に診断された55 歳以下の RUNX1-RUNX1T1 の患者で、初回治療で完全寛解を獲得した 224 名を 対象とした。寛解導入療法は従来量のシタラビン(100mg/㎡*7days) か中等量のシタラビン(1-4days+1g/㎡*3days)と低容量ダウノルビシン(40mg/㎡*3days)およびオマセタキシン(omacetaxine mepesuccinate )もしくは通常量ダウノルビシン(60mg/㎡*3days)を含む異なる導入レジメンを受けた。

ちょっとした大量キロサイドを従来量に追加している

地固療法は大量シタラビン療法もしくは中等量シタラビン+アントラサイクリンで行った。ckitを有する患者は同種移植を実施された。
年齢中央値は34歳、kit変異はD816を伴うものが35人、伴わないものが30人、認めなかったのが153人だった。FLT3ITD陽性は10人だった。CR1で同種移植を実施したのは16人であった。

結果

MRD減少率とMRDの絶対値の両方が、累積再発率(CIR;ハザード比[HR]=1.610、95%信頼区間[CI]:1.370-1.890、p<0.001、およびHR=1.170、95%CI:1.120-1.230、p<0.001)と有意に関連した。

MRD減少量
MRD絶対量
寛解導入療法は1g/kgキロサイドを足した方が良いという

累積再発率については、初回の地固め化学療法後のMRD減少量とMRDの絶対値の曲線下面積(AUC)は、それぞれ0.629と0.629だった。

中用量シタラビンの導入は、最初の地固療法後のMRD減少量で調整しても、依然として転帰と有意に関連していた(HR=1. 456, p < 0.001, CIR; HR = 1.467, p = 0.001, 無再発生存率; HR = 1.468, p = 0.014, 全生存率)。

結論

RUNX1 -RUNX1T1を有する急性骨髄性白血病において、地固め療法1コース後のMRDの予後的意義は導入療法に影響されることが明らかになった。

読後感

確かにケモ感受性の高いCBF AMLに寛解導入療法にキロサイドを少し足すというのがいいのかもしれない。しかしこれが実臨床に反映されるのであろうか。中等量キロサイドの安全性に関する記載がないのに加え、後方視的な解析というのでなかなか道は遠そうである。

何より今回の解析は寛解導入療法の違いが多変量で有意差が出た、というだけである。本当に寛解導入療法が重要であればMRD陰性群(もしくは有意に低下群)のみ、もしくは陽性群のみにおける寛解導入療法による比較が必要なのでは?

また、CBF AMLにおいてはGOの地固療法の有効性も指摘されており、MRD陽性もしくは減少率が乏しい患者へGOの地固め療法を実施するというリスクに応じた治療選択の方が現実的かもしれませんね。

EBMTからのALLに対するhaplo vs MSDの報告、結果は同等(2021)

どーも、意外に雨は好きです、ちゃんまんです。

今日はヨーロッパからのハプロ移植に関する報告です。

Outcome of haploidentical versus matched sibling donors in hematopoietic stem cell transplantation for adult patients with acute lymphoblastic leukemia: a study from the Acute Leukemia Working Party of the European Society for Blood and Marrow Transplantation

J Hematol Oncol (2021) 14:53 

背景

急性リンパ性白血病(ALL)において、ハプロSCT(HaploSCT)の使用が増加しており、患者の転帰が改善しています。私たちは最近、成人の完全寛解(CR)状態のALL患者がHaploSCTを受けた場合、その成績は非血縁ドナー移植と同等であることを報告しました。今回、ALL患者のHaploSCTと血縁ドナー(MSD)移植を比較しました。

目的

CR 期の ALL 患者における HaploSCT と MSD 移植の移植成績を評価する。

方法

2012年から2018年の間に、HaploドナーまたはMSDドナーから、CR1またはCR2で最初の同種幹細胞移植(alloSCT)を受け、そのデータが欧州血液骨髄移植学会(EBMT)の急性白血病ワーキングパーティー(ALWP)に報告された成人ALL患者(18歳以上)を後方視的に分析した。

結果

解析対象となったのは2304名。HaploSCTは413、MSDは1891。

観察期間の中央値は25ヵ月。年齢の中央値は、HaploSCTでは37歳(18-75歳)、MSDでは38歳(18-76歳)。

HaploSCT患者は、MSDから移植された患者よりも直近で移植された(2016年対2015年、p<0.0001)。

HaploSCTは、それぞれCR2の割合が高く(33.4% vs 16.7%、p < 0.0001)、MACを受けた患者は少なかった(68% vs 83.2%、p < 0.0001)。

サイトメガロウイルス(CMV)陽性率は、HaploSCT患者(22%対28%、p = 0.01)およびドナー(27.1%対33%、p < 0.02)で低く、HaploSCTは骨髄(BM)を用いて行われた割合が高かった(46.2%対18.6%、p < 0.0001)。

性別、カルノフスキー成績スコア、ALLの表現型、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性、および造血幹細胞移植前の測定可能残存病変(MRD)については、2群間に差はありませんでした。

移植片対宿主病(GVHD)の予防は、HaploSCTでは主に移植後のシクロホスファミド(PTCy)を中心に行われましたが(92.7%)、MSDでは主に薬理学的に行われました(18.7%がATGを投与)。

60日目の累積生着率は、HaploSCTと比較してMSD移植で高かった(98.7%対96.3%、p=0.001)。

180日目の急性GVHD II-IVおよびIII-IVの発生率は、HaploSCTとMSDの比較で、それぞれ36.3%対28.9%(p = 0.002)、15.2%対10.5%(p = 0.005)と高かった。

逆に、2年目のcGVHDとextensive cGVHDは、HaploSCT対MSDでそれぞれ32%対38.8%(p=0.009)、11.9%対19.5%(p=0.001)でした。

主な死因は、HaploSCT群とMSD群でそれぞれ、白血病(31.8%対45%)、感染症(33.1%対19.7%)、GVHD(16.6%対19.7%)でした。

2年後の再発率、非再発死亡率、無白血病生存率、全生存率、GVHDフリー・無再発生存率(GRFS)は、HaploSCTとMSDで、それぞれ26%対31.6%、22.9%対13%、51%対55.4%、58.8%対67.4%、40.6%対39%でした。

多変量解析では、HaploSCTではMSDに比べて再発率が有意に低く、ハザード比(HR)=0.66(95%CI 0.52-0.83、p=0.004)であった。

NRMはhaploSCTで有意に高く、HR=1.9でした。(95%CI 1. aGVHDのグレードII-IVおよびグレードIII-IVは、MSDよりもHaploSCTの方が高く、それぞれHR = 1.53(95% CI 1.23-1.9, p = 0.0002)、HR = 1.54(95% CI 1.1-2.15, p = 0.011)でした。

extensive cGVHDは、MSDに比べてHaploSCTでは低く、HR = 0.61(95%CI 0.43-0.88、p = 0.007)、一方、全cGVHDは、HR = 0.94(95%CI 0.74-1.18、p = 0.58)と、有意な差はありませんでした。

LFS、OS、GRFSについては、2つの移植群間で有意な差はなく、それぞれHR=0.96(95%CI 0.81-1.14、p=0.66)、HR=1.18(95%CI 0.96-1.43、p=0.11)、HR=0.93(95%CI 0.79-1.09、p=0.37)であった。これらの結果はマッチドペア解析でも確認された。

Matched‐pair analysis 
Matched‐pair analysis 
Matched‐pair analysis 

結論 

CR期の成人ALL患者がハプロドナーからの造血幹細胞移植を受けた場合の成績は、LFS、OS、GRFSの点でMSDからの移植を受けた場合と有意な差はない。

読後感

急性GVHDがhaploで多くて再発率が少ないのでハプロがGVLを引き出している様にも思えます。しかしALLはGVLが多くは期待できず、cGVHDはMSDが多いことを考えるとPTCyのCyの影響も大きいのかもしれません。Cyの量とかも気になるところです。

また、今後MRDやPh、さらにPh likeなどの要素が重要となってきますのでそもそも移植の必要不要論も気になるところです。

さらにCARTとの比較も今後は出てくると思いますし、気になりまくります。

あと、この看板の車椅子の躍動感が気になります。

脱メチル化阻害剤使用中の真菌感染は大体10%くらい起こるし、初診時から好中球が低い人たちで多い。

どーも、プロテイン飲むと便秘します、ちゃんまんです。

今日はHMAs、つまりアザシチジンやデシタビン使用中の真菌感染についての報告です。

Am J Hematol. 2020;95:792–798. 
背景

糸状菌による侵襲性真菌感染症(IFI)は、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)患者の重大な罹患率および死亡率の原因となっている。脱メチル化阻害剤(HMAs)の投与を受けている患者は多様であるため、臨床医が患者の感染リスクを正確に評価することは困難である。HMAs投与後のIFIの発生率に関する文献としては、アザシチジンに関するいくつかの研究に限られている。このレトロスペクティブ研究の目的は、米国の大規模総合がんセンターでHMA治療を受けたAML/MDS患者におけるIFIの発生率を評価することとした。副次的な評価項目として、IFIの潜在的な危険因子を特定をサブグループ解析により実施した。

対象

2010年10月1日から2017年10月1日までにアザシチジンとデシタビンを開始された患者の電子カルテからデータを算出した。HMAを少なくとも2サイクル受けたAML、R-IPSSでint1以上のMDS、慢性骨髄単球性白血病の患者203名を対象とした。

元々650人が対象となったが、158人がデータ不足、2サイクル以上使用できなかったのが138人、また82人が治療開始時に糸状菌活性のある真菌治療もしくは予防投与をされていたため除外されている。

年齢中央値は69歳、AMLは51%だった。アザシチジン使用が71%。フルコナゾールを予防的に投与されていたのは11%だった。

結果

European Organization for Research and Treatment of Cancer / Invasive Fun-gal Infections Cooperative Groupの基準で定義されたIFIの発生率は9.6%で、HMAs後に20件のIFIが診断されました(proven 3例,probable 4例, possible 13例 )。

リスク

IFIを発症した11人の患者は、HMAを開始した時点ですでに好中球が減少していた。感染症の大部分(17/20)は最初の4サイクルで発生していた。

結論

このような発生率を考慮すると、治療開始時に好中球減少が見られる患者には、カビを用いた予防が有用と考えられる。

読後感

意外にノーガードでも10%くらいしかかからないんだなという印象です。

真菌感染の論文は検査の曖昧性などから曖昧な論文になりがち。以前時施設で移植後の真菌感染のデータを調べたとき大変だったことを思い出しました。

R2と書いてアールスクエア。再発難治性低悪性度リンパ腫に対してリツキシマブにレナリドミドを追加すると成績が向上した話。

どーも、直明けは飲むと決めている、ちゃんまんです。

おうちでタコパ (たこ焼きパーティー)、レシピは宮迫が出しているたこ焼き店「みやたこ」を参照。うまし。

今日はちょっと古めですがレブラミド+リツキシマブ=R2の試験の報告です。

AUGMENT: A Phase III Study of Lenalidomide Plus Rituximab Versus Placebo Plus Rituximab in Relapsed or Refractory Indolent Lymphoma 

J Clin Oncol. 2019 May 10;37(14):1188-1199. 

目的

 低悪性度非ホジキンリンパ腫の患者は、first line治療の免疫化学療法によく反応する。再発時には、単剤のリツキシマブを投与するのが一般的である。免疫調整剤であるレナリドミドがリツキシマブの活性を高めることを示唆するデータがある。

方法

 再発・難治性の濾胞性または辺縁帯リンパ腫患者を対象に、レナリドミド+リツキシマブとプラセボ+リツキシマブの第Ⅲ相多施設共同無作為化試験を実施した。患者は2014/2/13-2017/2/26までに登録され、15か国、97で実施された。全ての患者は一つ以上の化学療法・免疫療法に対する治療歴があるが、リツキシマブに不応性ではないと判断されている。患者はレナリドミドまたはプラセボを12サイクル投与され、リツキシマブは1サイクル目と2~5サイクル目の1日目に週1回、4週間投与されました。主要評価項目は、独立した画像評価による無増悪生存率でした。

患者・副作用・効果

合計358名の患者がレナリドミド+リツキシマブ(n=178)またはプラセボ+リツキシマブ(n=180)に無作為に割り付けられた。

全体で濾胞性リンパ腫が82%, MZLが18%であった。84%がリツキシマブの治療歴を有し、前治療が1レジメンの患者は56%, 4レジメン以上が12%だった。最終治療から2年経過していない患者は51%であり、不応性の患者は16%だった。

感染症(63%対49%)、好中球減少(58%対23%)、皮膚反応(32%対12%)は、レナリドミドとリツキシマブの併用でより多く見られました。グレード 3 または 4 の好中球減少 (50% 対 13%) および白血球減少 (7% vs 2%) はレナリドミド+リツキシマブ併用群で高かったが、その他のグレード 3 または 4 の有害事象で 5%以上の差があったものはなかった。血栓症は差がなかった。(2% vs 1%)

無増悪生存期間は、レナリドミド+リツキシマブ併用群とプラセボ+リツキシマブ併用群で有意に改善し、ハザード比は0.46(95%CI、0.34~0.62、P , 0.001)、期間中央値はそれぞれ14.1カ月(95%CI、11.4~16.7カ月)に対して39.4カ月(95%CI、22.9カ月~到達せず)であった。

PFS 中央値が40ヶ月というのはいい成績なのだろう。

ORRは78%と53%で有意にレナリドミド追加群が良好であった、奏効持続期間(DOR)は36.6moと21.7moで有意にレナリドミド追加群が良好であった。

ちなみにOSは以下。

OS 再発難治といってもそこはFLや、MZLである。長期生存が望めるというグラフである。

結論 

レナリドミドは、再発した低悪性度リンパ腫患者におけるリツキシマブの有効性を改善し、安全性も許容範囲内であった。

ちなみに効果判定を主治医判断でも中央審査でもほぼ同様の傾向となっており、リツキサン+レナリドミドは割りに良い成績だ。という論調でした。

読後感

AUGMENTというのが増強でリツキシマブ+レブラミド療法の呼び方がR2 ( R square)というのはなんかセンス感じます。

フルアロという概念

どーも、新しい季節なもんで再開します、ちゃんまんです。

とりあえず論文読んでいこうと思います。

今回はフルアロ (full allo)。

通常同種造血幹細胞移植においてはドナーと患者のHLAを併せて重症GVHDを予防します。しかし逆にHLAを外してGVL効果を引き出し、難治性の造血器疾患に立ち向かうのがハプロ移植(haplo移植)です。

近年PTCy法というGVHD予防法が開発されhaplo移植といえば比較的安全な印象がありますが、がっつりGVL効果を引き出すhaplo移植(勝負haploなどという)もまだまだ現役で難治性の造血器疾患にはトライされています。

全部一致してても重症GVHDが2割弱出てしまうのに半分も不一致ならさらに激しくGVHDが出てしまいます。フルアロとは半分どころかHLA全部違うドナーからの移植です。

どひゃー、です。

しかし移植後再発の様な本当にあとがない場合は考慮できるのではないかという報告です。

もちろん兵庫医科大学からです。

Bone Marrow Transplant. 2021 Jan;56(1):70-83. 

背景

HLAハプロタイプ一致の造血幹細胞移植(HSCT)、すなわち、1-HLAハプロタイプミスマッチの家族ドナーからの造血幹細胞移植は、移植後の再発に対する2回目の移植としても用いられている。造血幹細胞移植におけるHLAミスマッチの限界はハプロ一体型なのか?ハプロ一体型以外の家族ドナーからのHLA不一致造血幹細胞移植の可能性を探るため、2-HLA-ハプロタイプ不一致造血幹細胞移植(2-haplo-mismatch HSCT)の前方視的第I/II相試験を実施しました。

患者・ドナー・前処置・GHVD予防

移植後に再発した患者30名が登録されました。内訳は急性骨髄性白血病:18名、急性リンパ性白血病:11名、非ホジキンリンパ腫:1名でした。

2回目から6回目の移植として2ハプロミスマッチ造血幹細胞移植が行われました。ドナーは、兄弟姉妹(n=12)、いとこ(n=16)、またいとこ(n=2)でした。

前処置はフルダラビン、シタラビン、メルファラン、低容量ATG(1.35mg/kg・2days)、3Gyの全身照射が行われました。

移植片対宿主病(GVHD)の予防には、タクロリムス、メチルプレドニゾロン(day-2~0は500mg, それ以後は2mg/kg, day21から漸減)、ミコフェノール酸モフェチルが使用されました。

結果

早期に死亡した1例を除き、すべての患者が好中球の移植を達成しました。グレードII-IVおよびIII-IVの急性GVHDの累積発生率は,それぞれ36.7%と16.7%でした。

1年後の全生存率、再発率、非再発率はそれぞれ30.1%、38.9%、44.3%でした。

前回の移植後にCR持続期間が長い方がOSは良い、つまり移植に対して感受性が残っているということだろうか

再発率4割、治療関連死4割、の図

結論

移植後の再発の予後の悪さを考慮すると、2-haplo-mismatch造血幹細胞移植は、2回目または3回目の移植の際の代替オプションとなり得る。

読後感

すごい、その一言。

移植前の尿酸が高ければ再発しやすいし、感染症死しやすい。なぜかはわからないが。

どーも、最近下痢ピー、ちゃんまんです。

今日はこれ

Association of uric acid levels before start of conditioning with mortality after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation – a prospective, non-interventional study of the EBMT Transplant Complication Working Party

Haematologica 2020.105(7);1977-1983

EBMTからの報告。

ヨーロッパ10か国の年間50例以上移植をしている20施設で前向きに実施。

2014年から2018年までに血縁末梢血ドナーから移植を受けた患者が対象。

386人登録し、前処置前の尿酸を測定した。日にちの中央値は3日前であった。(0−22日)

カットオフを4.3とした。

多変量解析でOS, PFS, NRMは高尿酸血症と相関があった。

再発率も高かったみたいです。

さらに感染症の発症率は変わらなかったが感染症による死亡は高尿酸血症と関連があった。

いやー、不思議ですね。メカニズムは分かりませんと本文にもあります。

腫瘍量を反映しているのか、高炎症反応状態を表しているのか。炎症反応と関連があるならGVHDと関連がありそうですがそれはないようです。

面白い研究です。こういうのをしてみたい。

MRDが検出されるPh陽性ALLはGVHDが出た方が良い

どーも、実は教えるの好き、ちゃんまんです。

本日はこれ。

Impact of graft-versus-host disease and graft-versus-leukemia effect based on minimal residual disease in Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia

British Journal of Haematology, 2020, 190, 84–92

Ph陽性急性リンパ性白血病(ALL)は治癒のためには造血幹細胞移植が必要とされています。つまりGVL効果が治癒には必要ということですが、一方でGVL効果はあまりないのではないかとも言われています。

そしてALLにおいて微小残存病変(MRD)は強力な予後因子であり、移植前のMRD残存は予後不良であると言われています。その予後不良の集団はGVHDが出るとどうなるのでしょう。というのが趣旨です。

日本のTRUMPのレジストリデータを使った報告です。

2005年から2017年までTKIで治療され、CR1で移植を実施したPh+ALL1022人を解析、MRD測定がないものは除外されています。

791人(77.4%)がMRD-、231人がMRD+でした。背景に大きな差はない印象です。

まずはOSなど

全体、MRD-, MRD+でグループ分けをし、GVHDの有無で層別化してます。

 4yOS4y 再発率4y非再発死亡
全体68.30%18.90%21.40%
MRD陰性71.30%15.60%20.80%
MRD陽性57.30%30.60%23.50%

やはりMRDは強力な予後因子です。

急性GVHDとの関連

続いてそれぞれのグループで急性GVHDの有無で層別化しました。

全体とMRD-ではGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまうとOSが下がってしまってます。しかしMRD陽性のグループではGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまっていてもOSに差はありませんでした。

また、どのグループでもGradeⅠ-ⅡのGVHDはOSに関係ありませんでした。

どうしてでしょうか。

結局どのグループでもGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまうとNRMに悪影響を与えます。しかしMRD+のグループでは再発率が下がるので結局生存率には差が出ないということです。

あれ?全体でも再発率が下がっているではないかと。おそらく全体ではMRD陰性の患者が多いためMRD陰性の傾向に近くなってしまったのでしょう。

慢性GVHD

どのグループでも慢性GVHDは生存率と関連はありませんでした。

しかし全体と、MRD陽性のグループにおいて再発率は低かったようです。

で?

ということでPh陽性ALLにおいうては陽性の場合はGradeⅢ-ⅣのGVHDがあるとMRD陰性のように死亡率が上がらない。という結果でした。

Ph陽性ALLにおいてはMRD陽性は強力な予後因子であり、移植においては重症急性GVHDは死亡率が上がる恐ろしい合併症である。

また、OSに影響を与えない軽症GVHDが出ても再発率が変わらないということはやはりGVL効果はあまり期待できない。

という再確認ができた研究ですかね。

しかしPh陽性ALLはTKIの出現で劇的に成績が良くなってます。TRUMPでは移植後TKIのデータがなかったと思うのでその辺りは気になるところです。

DLBCLにおいて中間PETはSUVmaxの減少が大事

どーも、このブログのターゲットがわからない、ちゃんまんです。

今の感じだと血液内科3-6年目くらいですか?ニッチすぎるしそれにしては情報が薄い。PVも低い。

ただ、目的としては読んだ論文のアウトプットですからとりあえず読んでいきます。

Prognostic value of interim FDG-PET in diffuse large cell lymphoma: results from the CALGB 50303 Clinical Trial

Blood. 2020;135(25):2224-2234

アメリカはCALGBからの報告です。R-CHOP vs DA-EPOCHの試験にオプションで参加できるPETの臨床試験です。

R-CHOPvsDA-EPOCH-Rの臨床試験には524人が参加してましたが、この追加試験には169人が参加しました。11人を除外し159人を解析対象とした。

PETのタイミングは治療前、2コース後、治療終了後です。

評価は5ポイントスケールと病変のなかで一番高いSUV値の変動で行いました。

結果です。5ポイントスケールによる中間PETの評価はPFS, OS共に関連しませんでした。

しかし連続変数としてのSUVの減少率は単変量解析なら有意にPFSとOSに関連していました。

なのでSUVの減少率が66%をカットオフにしたところPFSでは有意差はつきませんでしたがOSでは有意差がつきました。

66%は既報を参考にしています。

ちょっと驚いたことに治療終了後のPETは5ポイントスケールでの評価では有意差がつかなかったようです。

感想

中間PETは5ポイントスケールだとあまり意味がないが減少率が大事とのこと、でもそれもそんなに強い予後予測因子にはならなさそう。中間PETの意義やいかに。