脱メチル化阻害剤使用中の真菌感染は大体10%くらい起こるし、初診時から好中球が低い人たちで多い。

どーも、プロテイン飲むと便秘します、ちゃんまんです。

今日はHMAs、つまりアザシチジンやデシタビン使用中の真菌感染についての報告です。

Am J Hematol. 2020;95:792–798. 
背景

糸状菌による侵襲性真菌感染症(IFI)は、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)患者の重大な罹患率および死亡率の原因となっている。脱メチル化阻害剤(HMAs)の投与を受けている患者は多様であるため、臨床医が患者の感染リスクを正確に評価することは困難である。HMAs投与後のIFIの発生率に関する文献としては、アザシチジンに関するいくつかの研究に限られている。このレトロスペクティブ研究の目的は、米国の大規模総合がんセンターでHMA治療を受けたAML/MDS患者におけるIFIの発生率を評価することとした。副次的な評価項目として、IFIの潜在的な危険因子を特定をサブグループ解析により実施した。

対象

2010年10月1日から2017年10月1日までにアザシチジンとデシタビンを開始された患者の電子カルテからデータを算出した。HMAを少なくとも2サイクル受けたAML、R-IPSSでint1以上のMDS、慢性骨髄単球性白血病の患者203名を対象とした。

元々650人が対象となったが、158人がデータ不足、2サイクル以上使用できなかったのが138人、また82人が治療開始時に糸状菌活性のある真菌治療もしくは予防投与をされていたため除外されている。

年齢中央値は69歳、AMLは51%だった。アザシチジン使用が71%。フルコナゾールを予防的に投与されていたのは11%だった。

結果

European Organization for Research and Treatment of Cancer / Invasive Fun-gal Infections Cooperative Groupの基準で定義されたIFIの発生率は9.6%で、HMAs後に20件のIFIが診断されました(proven 3例,probable 4例, possible 13例 )。

リスク

IFIを発症した11人の患者は、HMAを開始した時点ですでに好中球が減少していた。感染症の大部分(17/20)は最初の4サイクルで発生していた。

結論

このような発生率を考慮すると、治療開始時に好中球減少が見られる患者には、カビを用いた予防が有用と考えられる。

読後感

意外にノーガードでも10%くらいしかかからないんだなという印象です。

真菌感染の論文は検査の曖昧性などから曖昧な論文になりがち。以前時施設で移植後の真菌感染のデータを調べたとき大変だったことを思い出しました。