ベルリンは晴れているか、を読んだ。
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第二次世界大戦後に占領されたベルリンでドイツ人であるアウグステが苦難を超えながらエーリヒに会いに行く。苦難の内訳は戦争中のドイツにおける言論統制やユダヤ人の差別の裏返しであったり、さらに敗戦直前から戦争終了後の植民地状態のドイツにおける治安の悪さ、命の軽さであったりする。作中に言及はないがタイトルは戦争中にヒトラーが言った、パリは燃えているかをもじったものであろう。
学生時代にはそういった戦争の理不尽さや、女性や子供などが対象になる命を軽視した描写が出てくる小説などはいろいろ読んだ時、しんどいなと思っていたが、今回は奥さんと娘がちらついてさらにしんどくなった。自分がやられることより、自分が大事にしていることやもの、人がやられる方がしんどく感じるのだろう。やられるの具体的な内容は書けないくらいやるせなさが強い。
ただ、このような時代はいつ来るかはわからないので何とかそんな状況になったとしても僕含めてうまく、そして自由に人生を歩きたい。そんな準備をしたいと思っているがどんな準備をすれば良いのだろうか。今の時代、女性だからと言って簡単に踏みにじられないが、逆に、男女かかわらず能力がないと搾取されてしまうように感じる。性差による差別ではなく、能力や所得などの所持の有無での差別がおそらく出てきている気がする。
、、、、もう少しうまく書けると思っていたが、この辺りは僕はまだうまく言語化できていないようで、中身が思ったほど膨らまなかった。。。もう少し色々なことを書いてまた戻ってくるトピックだろう。
本書の感想に戻ると、かなり詳細に当時のドイツの空気感が描写されており、読んでる感覚としては軽やかではない。背景にある悲劇的な空気もうまく出ていて、弱っている時に読んでしまうと一緒に憂鬱となってしまいそうである。しかし最後の謎解き(読んでいるときは謎解きがあるとは思えない、なぜならただの行軍と思ってしまうから)でやっとフワッと爽快感が出る。
主人公は戦時中から英語に憧れる女の子で、年齢設定は17歳くらい。それにしては大人びている描写だが戦争を生き延びるというのは青春を謳歌しない、子供らしさを味わえないということかもしれない。ロシア軍から昔の知り合いの死について重要参考人であるエーリヒに会ってこいと言う命令をされて、いろんな理不尽な場面に出会いながら旅を続けていく。その旅の足取りは重く、なぜこんなことをしているのかの理由が明かされない。あまりに長すぎて理由などなく、戦時中の(実際は終わっているが)心身のダメージによる服従なのかと疑ってしまう。というか理由などを考えている余裕ができないようなヘビーな場面が続く。気候も良くなくてなんかずっと暑い。お風呂にも入れない。
最後に明かされた理由だが、幼少期のトラウマを抱えているかもしれないエーリヒにそのトラウマの元凶の人が死んだことを伝えて安心させたかった、というものだった。そこで戦争後のこれからの時代を生きる人に対するトラウマを乗り越えて頑張っていこう、というポジティブさが初めて出てきて物語は完成する。
けっこう長く感じて、実際小説なのに10日くらい読むのにかかった。途中諦めかけたけどなんとか完走した。よかったかどうかでいうと、、悪くはないって感じ、これが人生だろうか。そんな簡単な言葉では片付かない。
うまく締めれない。