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EBMTからのALLに対するhaplo vs MSDの報告、結果は同等(2021)

どーも、意外に雨は好きです、ちゃんまんです。

今日はヨーロッパからのハプロ移植に関する報告です。

Outcome of haploidentical versus matched sibling donors in hematopoietic stem cell transplantation for adult patients with acute lymphoblastic leukemia: a study from the Acute Leukemia Working Party of the European Society for Blood and Marrow Transplantation

J Hematol Oncol (2021) 14:53 

背景

急性リンパ性白血病(ALL)において、ハプロSCT(HaploSCT)の使用が増加しており、患者の転帰が改善しています。私たちは最近、成人の完全寛解(CR)状態のALL患者がHaploSCTを受けた場合、その成績は非血縁ドナー移植と同等であることを報告しました。今回、ALL患者のHaploSCTと血縁ドナー(MSD)移植を比較しました。

目的

CR 期の ALL 患者における HaploSCT と MSD 移植の移植成績を評価する。

方法

2012年から2018年の間に、HaploドナーまたはMSDドナーから、CR1またはCR2で最初の同種幹細胞移植(alloSCT)を受け、そのデータが欧州血液骨髄移植学会(EBMT)の急性白血病ワーキングパーティー(ALWP)に報告された成人ALL患者(18歳以上)を後方視的に分析した。

結果

解析対象となったのは2304名。HaploSCTは413、MSDは1891。

観察期間の中央値は25ヵ月。年齢の中央値は、HaploSCTでは37歳(18-75歳)、MSDでは38歳(18-76歳)。

HaploSCT患者は、MSDから移植された患者よりも直近で移植された(2016年対2015年、p<0.0001)。

HaploSCTは、それぞれCR2の割合が高く(33.4% vs 16.7%、p < 0.0001)、MACを受けた患者は少なかった(68% vs 83.2%、p < 0.0001)。

サイトメガロウイルス(CMV)陽性率は、HaploSCT患者(22%対28%、p = 0.01)およびドナー(27.1%対33%、p < 0.02)で低く、HaploSCTは骨髄(BM)を用いて行われた割合が高かった(46.2%対18.6%、p < 0.0001)。

性別、カルノフスキー成績スコア、ALLの表現型、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性、および造血幹細胞移植前の測定可能残存病変(MRD)については、2群間に差はありませんでした。

移植片対宿主病(GVHD)の予防は、HaploSCTでは主に移植後のシクロホスファミド(PTCy)を中心に行われましたが(92.7%)、MSDでは主に薬理学的に行われました(18.7%がATGを投与)。

60日目の累積生着率は、HaploSCTと比較してMSD移植で高かった(98.7%対96.3%、p=0.001)。

180日目の急性GVHD II-IVおよびIII-IVの発生率は、HaploSCTとMSDの比較で、それぞれ36.3%対28.9%(p = 0.002)、15.2%対10.5%(p = 0.005)と高かった。

逆に、2年目のcGVHDとextensive cGVHDは、HaploSCT対MSDでそれぞれ32%対38.8%(p=0.009)、11.9%対19.5%(p=0.001)でした。

主な死因は、HaploSCT群とMSD群でそれぞれ、白血病(31.8%対45%)、感染症(33.1%対19.7%)、GVHD(16.6%対19.7%)でした。

2年後の再発率、非再発死亡率、無白血病生存率、全生存率、GVHDフリー・無再発生存率(GRFS)は、HaploSCTとMSDで、それぞれ26%対31.6%、22.9%対13%、51%対55.4%、58.8%対67.4%、40.6%対39%でした。

多変量解析では、HaploSCTではMSDに比べて再発率が有意に低く、ハザード比(HR)=0.66(95%CI 0.52-0.83、p=0.004)であった。

NRMはhaploSCTで有意に高く、HR=1.9でした。(95%CI 1. aGVHDのグレードII-IVおよびグレードIII-IVは、MSDよりもHaploSCTの方が高く、それぞれHR = 1.53(95% CI 1.23-1.9, p = 0.0002)、HR = 1.54(95% CI 1.1-2.15, p = 0.011)でした。

extensive cGVHDは、MSDに比べてHaploSCTでは低く、HR = 0.61(95%CI 0.43-0.88、p = 0.007)、一方、全cGVHDは、HR = 0.94(95%CI 0.74-1.18、p = 0.58)と、有意な差はありませんでした。

LFS、OS、GRFSについては、2つの移植群間で有意な差はなく、それぞれHR=0.96(95%CI 0.81-1.14、p=0.66)、HR=1.18(95%CI 0.96-1.43、p=0.11)、HR=0.93(95%CI 0.79-1.09、p=0.37)であった。これらの結果はマッチドペア解析でも確認された。

Matched‐pair analysis 
Matched‐pair analysis 
Matched‐pair analysis 

結論 

CR期の成人ALL患者がハプロドナーからの造血幹細胞移植を受けた場合の成績は、LFS、OS、GRFSの点でMSDからの移植を受けた場合と有意な差はない。

読後感

急性GVHDがhaploで多くて再発率が少ないのでハプロがGVLを引き出している様にも思えます。しかしALLはGVLが多くは期待できず、cGVHDはMSDが多いことを考えるとPTCyのCyの影響も大きいのかもしれません。Cyの量とかも気になるところです。

また、今後MRDやPh、さらにPh likeなどの要素が重要となってきますのでそもそも移植の必要不要論も気になるところです。

さらにCARTとの比較も今後は出てくると思いますし、気になりまくります。

あと、この看板の車椅子の躍動感が気になります。

フルアロという概念

どーも、新しい季節なもんで再開します、ちゃんまんです。

とりあえず論文読んでいこうと思います。

今回はフルアロ (full allo)。

通常同種造血幹細胞移植においてはドナーと患者のHLAを併せて重症GVHDを予防します。しかし逆にHLAを外してGVL効果を引き出し、難治性の造血器疾患に立ち向かうのがハプロ移植(haplo移植)です。

近年PTCy法というGVHD予防法が開発されhaplo移植といえば比較的安全な印象がありますが、がっつりGVL効果を引き出すhaplo移植(勝負haploなどという)もまだまだ現役で難治性の造血器疾患にはトライされています。

全部一致してても重症GVHDが2割弱出てしまうのに半分も不一致ならさらに激しくGVHDが出てしまいます。フルアロとは半分どころかHLA全部違うドナーからの移植です。

どひゃー、です。

しかし移植後再発の様な本当にあとがない場合は考慮できるのではないかという報告です。

もちろん兵庫医科大学からです。

Bone Marrow Transplant. 2021 Jan;56(1):70-83. 

背景

HLAハプロタイプ一致の造血幹細胞移植(HSCT)、すなわち、1-HLAハプロタイプミスマッチの家族ドナーからの造血幹細胞移植は、移植後の再発に対する2回目の移植としても用いられている。造血幹細胞移植におけるHLAミスマッチの限界はハプロ一体型なのか?ハプロ一体型以外の家族ドナーからのHLA不一致造血幹細胞移植の可能性を探るため、2-HLA-ハプロタイプ不一致造血幹細胞移植(2-haplo-mismatch HSCT)の前方視的第I/II相試験を実施しました。

患者・ドナー・前処置・GHVD予防

移植後に再発した患者30名が登録されました。内訳は急性骨髄性白血病:18名、急性リンパ性白血病:11名、非ホジキンリンパ腫:1名でした。

2回目から6回目の移植として2ハプロミスマッチ造血幹細胞移植が行われました。ドナーは、兄弟姉妹(n=12)、いとこ(n=16)、またいとこ(n=2)でした。

前処置はフルダラビン、シタラビン、メルファラン、低容量ATG(1.35mg/kg・2days)、3Gyの全身照射が行われました。

移植片対宿主病(GVHD)の予防には、タクロリムス、メチルプレドニゾロン(day-2~0は500mg, それ以後は2mg/kg, day21から漸減)、ミコフェノール酸モフェチルが使用されました。

結果

早期に死亡した1例を除き、すべての患者が好中球の移植を達成しました。グレードII-IVおよびIII-IVの急性GVHDの累積発生率は,それぞれ36.7%と16.7%でした。

1年後の全生存率、再発率、非再発率はそれぞれ30.1%、38.9%、44.3%でした。

前回の移植後にCR持続期間が長い方がOSは良い、つまり移植に対して感受性が残っているということだろうか

再発率4割、治療関連死4割、の図

結論

移植後の再発の予後の悪さを考慮すると、2-haplo-mismatch造血幹細胞移植は、2回目または3回目の移植の際の代替オプションとなり得る。

読後感

すごい、その一言。

MRDが検出されるPh陽性ALLはGVHDが出た方が良い

どーも、実は教えるの好き、ちゃんまんです。

本日はこれ。

Impact of graft-versus-host disease and graft-versus-leukemia effect based on minimal residual disease in Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia

British Journal of Haematology, 2020, 190, 84–92

Ph陽性急性リンパ性白血病(ALL)は治癒のためには造血幹細胞移植が必要とされています。つまりGVL効果が治癒には必要ということですが、一方でGVL効果はあまりないのではないかとも言われています。

そしてALLにおいて微小残存病変(MRD)は強力な予後因子であり、移植前のMRD残存は予後不良であると言われています。その予後不良の集団はGVHDが出るとどうなるのでしょう。というのが趣旨です。

日本のTRUMPのレジストリデータを使った報告です。

2005年から2017年までTKIで治療され、CR1で移植を実施したPh+ALL1022人を解析、MRD測定がないものは除外されています。

791人(77.4%)がMRD-、231人がMRD+でした。背景に大きな差はない印象です。

まずはOSなど

全体、MRD-, MRD+でグループ分けをし、GVHDの有無で層別化してます。

 4yOS4y 再発率4y非再発死亡
全体68.30%18.90%21.40%
MRD陰性71.30%15.60%20.80%
MRD陽性57.30%30.60%23.50%

やはりMRDは強力な予後因子です。

急性GVHDとの関連

続いてそれぞれのグループで急性GVHDの有無で層別化しました。

全体とMRD-ではGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまうとOSが下がってしまってます。しかしMRD陽性のグループではGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまっていてもOSに差はありませんでした。

また、どのグループでもGradeⅠ-ⅡのGVHDはOSに関係ありませんでした。

どうしてでしょうか。

結局どのグループでもGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまうとNRMに悪影響を与えます。しかしMRD+のグループでは再発率が下がるので結局生存率には差が出ないということです。

あれ?全体でも再発率が下がっているではないかと。おそらく全体ではMRD陰性の患者が多いためMRD陰性の傾向に近くなってしまったのでしょう。

慢性GVHD

どのグループでも慢性GVHDは生存率と関連はありませんでした。

しかし全体と、MRD陽性のグループにおいて再発率は低かったようです。

で?

ということでPh陽性ALLにおいうては陽性の場合はGradeⅢ-ⅣのGVHDがあるとMRD陰性のように死亡率が上がらない。という結果でした。

Ph陽性ALLにおいてはMRD陽性は強力な予後因子であり、移植においては重症急性GVHDは死亡率が上がる恐ろしい合併症である。

また、OSに影響を与えない軽症GVHDが出ても再発率が変わらないということはやはりGVL効果はあまり期待できない。

という再確認ができた研究ですかね。

しかしPh陽性ALLはTKIの出現で劇的に成績が良くなってます。TRUMPでは移植後TKIのデータがなかったと思うのでその辺りは気になるところです。

70歳以上に対するPTCy

どーも、今日はアーリオオーリオが出てきました、アーリオオーリオって何?ちゃんまんです。

Haploidentical transplantation using posttransplant cyclophosphamide as GVHD prophylaxis in patients over age 70

Blood Adv. 2019 Sep 10;3(17):2608-2616.

今日はPTCy、僕が今のところ一番感銘を受けた治療法です。

その本体、ジョンスホプキンスからの報告です。楽なPTCyによる移植は高齢者で恩恵があるのではないか、という趣旨ですね。

症例数は93例、年齢中央値は72歳(70-78)でした。

骨髄が74%、末梢血が26%でした。子供からが83%で、兄弟は4%でした。

前処置はFlu+CY+TBIで、GVHD予防はPTCy、MMF、タクロリムスもしくはシロリムスでした。

rDRIにおいてlowは9%、intermediateは78%、high/very highは12%でした。

2年OSは53%でした。再発率は30%でした。

NRMは180日では14%でしたが2年時では27%でした。

CRSで2人死んでいる、、

わるく、ないだろう。

ちなみにriskとして180日時点での体重減少があればあるほどOSもNRMが増える、とありました。でもこれは結果を見ているような感じですかね

こんな報告もあるし、70歳を過ぎていても移植してもいいんじゃないか、とうっすら頭に残る論文ですかね。勇気をもらえます。前の施設では77歳の方がPTCyによる移植を受けて1年少し経つ今も元気にされていると聞きます。