またまた原田マハ、サロメを読んだ。
舞台はお決まりの1900年代、人々が食べる以外のために生き始めた時代。
サロメという聖書の一説にある、エロすなややこしい話を題材に、オスカーワイルドというハイセンスで時代に乗った、そしてゲイの劇作家がアレンジした話をめぐる物語。
サロメのあらすじは一回で聞いただけでは覚えられない。王様の娘のサロメ(おそらく、本当には名前はない?)が牢に入れられている預言者に恋をする。王様から迫られているサロメは王様に提案する。いい踊りができたらひとつ願い事を叶えてくれと。王様はもちろんokするしサロメはすごくていやらしい踊りをする。王様は満足し、願い事を聞くとサロメは恋をした預言者の首を持ってきてほしいと言う。当時、預言者殺しなんて考えただけでも大変なことだったみたいで、王様は面食らったが結局サロメに預言者の首を渡す。そこでサロメは首だけの預言者にキスをする。そんな夢のような話。
ワイルドのサロメを有名にしたのはその話の内容ではなく、オーブリーという挿絵作家であったという話。首だけの預言者にキスをするシーン含め何枚かの挿絵が凄まじいみたい。
でもそのオーブリーは結核で早く死んでる。その短い生涯ではサロメを通した大成功とワイルドに裏切られた悲しみがあるよーみたいな話。
語り手はオーブリーの姉のメイベル、彼女は弟の才能を信じていたし、時代的に男を立てることに従事していたし、かといって自分を諦めきれなくて女優として花開かせるために劇場主に体を許したりする。体を許すってなんかエロい。(直球)
ワイルドにはワイルドの人生があってそれは芸術を愛している生き方であるが結局は一人で死んでいく。
有名であろうサロメの話を全く知らなくても全編に何回か登場し、そして微妙に全編のプロットになっているところが読んでいて気持ちがよかった。あと、原田マハの小説大体においてやけど芸術っていいですねぇの精神がところどころにあって「オーブリーの絵はそんなすごいもんか、そしてワイルドの戯曲もすごいねんな−」と設定を信じ込ませるような文体である。
僕は芸術などの直接生きるのに必要性について、ないと思うけど、あると信じている。なのでその信じている部分を原田マハは応援してくれている気がして僕は好きだ。