どーも、実は教えるの好き、ちゃんまんです。
本日はこれ。
Impact of graft-versus-host disease and graft-versus-leukemia effect based on minimal residual disease in Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia
British Journal of Haematology, 2020, 190, 84–92
Ph陽性急性リンパ性白血病(ALL)は治癒のためには造血幹細胞移植が必要とされています。つまりGVL効果が治癒には必要ということですが、一方でGVL効果はあまりないのではないかとも言われています。
そしてALLにおいて微小残存病変(MRD)は強力な予後因子であり、移植前のMRD残存は予後不良であると言われています。その予後不良の集団はGVHDが出るとどうなるのでしょう。というのが趣旨です。
日本のTRUMPのレジストリデータを使った報告です。
2005年から2017年までTKIで治療され、CR1で移植を実施したPh+ALL1022人を解析、MRD測定がないものは除外されています。
791人(77.4%)がMRD-、231人がMRD+でした。背景に大きな差はない印象です。
まずはOSなど
全体、MRD-, MRD+でグループ分けをし、GVHDの有無で層別化してます。
4yOS | 4y 再発率 | 4y非再発死亡 | |
全体 | 68.30% | 18.90% | 21.40% |
MRD陰性 | 71.30% | 15.60% | 20.80% |
MRD陽性 | 57.30% | 30.60% | 23.50% |
やはりMRDは強力な予後因子です。
急性GVHDとの関連
続いてそれぞれのグループで急性GVHDの有無で層別化しました。
全体とMRD-ではGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまうとOSが下がってしまってます。しかしMRD陽性のグループではGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまっていてもOSに差はありませんでした。
また、どのグループでもGradeⅠ-ⅡのGVHDはOSに関係ありませんでした。
どうしてでしょうか。
結局どのグループでもGradeⅢ-ⅣのGVHDが出てしまうとNRMに悪影響を与えます。しかしMRD+のグループでは再発率が下がるので結局生存率には差が出ないということです。
あれ?全体でも再発率が下がっているではないかと。おそらく全体ではMRD陰性の患者が多いためMRD陰性の傾向に近くなってしまったのでしょう。
慢性GVHD
どのグループでも慢性GVHDは生存率と関連はありませんでした。
しかし全体と、MRD陽性のグループにおいて再発率は低かったようです。
で?
ということでPh陽性ALLにおいうては陽性の場合はGradeⅢ-ⅣのGVHDがあるとMRD陰性のように死亡率が上がらない。という結果でした。
Ph陽性ALLにおいてはMRD陽性は強力な予後因子であり、移植においては重症急性GVHDは死亡率が上がる恐ろしい合併症である。
また、OSに影響を与えない軽症GVHDが出ても再発率が変わらないということはやはりGVL効果はあまり期待できない。
という再確認ができた研究ですかね。
しかしPh陽性ALLはTKIの出現で劇的に成績が良くなってます。TRUMPでは移植後TKIのデータがなかったと思うのでその辺りは気になるところです。