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R2と書いてアールスクエア。再発難治性低悪性度リンパ腫に対してリツキシマブにレナリドミドを追加すると成績が向上した話。

どーも、直明けは飲むと決めている、ちゃんまんです。

おうちでタコパ (たこ焼きパーティー)、レシピは宮迫が出しているたこ焼き店「みやたこ」を参照。うまし。

今日はちょっと古めですがレブラミド+リツキシマブ=R2の試験の報告です。

AUGMENT: A Phase III Study of Lenalidomide Plus Rituximab Versus Placebo Plus Rituximab in Relapsed or Refractory Indolent Lymphoma 

J Clin Oncol. 2019 May 10;37(14):1188-1199. 

目的

 低悪性度非ホジキンリンパ腫の患者は、first line治療の免疫化学療法によく反応する。再発時には、単剤のリツキシマブを投与するのが一般的である。免疫調整剤であるレナリドミドがリツキシマブの活性を高めることを示唆するデータがある。

方法

 再発・難治性の濾胞性または辺縁帯リンパ腫患者を対象に、レナリドミド+リツキシマブとプラセボ+リツキシマブの第Ⅲ相多施設共同無作為化試験を実施した。患者は2014/2/13-2017/2/26までに登録され、15か国、97で実施された。全ての患者は一つ以上の化学療法・免疫療法に対する治療歴があるが、リツキシマブに不応性ではないと判断されている。患者はレナリドミドまたはプラセボを12サイクル投与され、リツキシマブは1サイクル目と2~5サイクル目の1日目に週1回、4週間投与されました。主要評価項目は、独立した画像評価による無増悪生存率でした。

患者・副作用・効果

合計358名の患者がレナリドミド+リツキシマブ(n=178)またはプラセボ+リツキシマブ(n=180)に無作為に割り付けられた。

全体で濾胞性リンパ腫が82%, MZLが18%であった。84%がリツキシマブの治療歴を有し、前治療が1レジメンの患者は56%, 4レジメン以上が12%だった。最終治療から2年経過していない患者は51%であり、不応性の患者は16%だった。

感染症(63%対49%)、好中球減少(58%対23%)、皮膚反応(32%対12%)は、レナリドミドとリツキシマブの併用でより多く見られました。グレード 3 または 4 の好中球減少 (50% 対 13%) および白血球減少 (7% vs 2%) はレナリドミド+リツキシマブ併用群で高かったが、その他のグレード 3 または 4 の有害事象で 5%以上の差があったものはなかった。血栓症は差がなかった。(2% vs 1%)

無増悪生存期間は、レナリドミド+リツキシマブ併用群とプラセボ+リツキシマブ併用群で有意に改善し、ハザード比は0.46(95%CI、0.34~0.62、P , 0.001)、期間中央値はそれぞれ14.1カ月(95%CI、11.4~16.7カ月)に対して39.4カ月(95%CI、22.9カ月~到達せず)であった。

PFS 中央値が40ヶ月というのはいい成績なのだろう。

ORRは78%と53%で有意にレナリドミド追加群が良好であった、奏効持続期間(DOR)は36.6moと21.7moで有意にレナリドミド追加群が良好であった。

ちなみにOSは以下。

OS 再発難治といってもそこはFLや、MZLである。長期生存が望めるというグラフである。

結論 

レナリドミドは、再発した低悪性度リンパ腫患者におけるリツキシマブの有効性を改善し、安全性も許容範囲内であった。

ちなみに効果判定を主治医判断でも中央審査でもほぼ同様の傾向となっており、リツキサン+レナリドミドは割りに良い成績だ。という論調でした。

読後感

AUGMENTというのが増強でリツキシマブ+レブラミド療法の呼び方がR2 ( R square)というのはなんかセンス感じます。

濾胞性リンパ腫における早期再発について-POD24って何?-

どうも、最近筋トレ体操にはまっています(見る専)、チャンマンです。

先日Webセミナーで悪性リンパ腫についての講演がありました。その中でPOD24についての話題があがったので紹介させていただきます。

まず、濾胞性リンパ腫について-軽めに-

100種類くらいある(!?)悪性リンパ腫のうちのひとつです。

特徴としては

・悪性リンパ腫の中で2番目に多い(20%程度)
・低悪性度
・化学療法への感受性は良い
・再発を繰り返す
・治癒を目指すには同種造血幹細胞移植が必要

などが挙げられます。のんびりとしてるけど再発はちらつき続ける、というイメージでしょうか。

低悪性度とは勢いがないという意味でして、治癒率と関係ありません。ややこしい。

50%生存期間(=100人患者さんがいた場合で、50人目が亡くなってしまうまでの期間)は20年程度とされています。
つまり濾胞性リンパ腫にかかってしまっても半分以上の方が20年以上は生き続けることができるということです。

しかし残念ながら化学療法だけでは治癒には至らず再発を繰り返します。そして最後には治療抵抗性となり命を落としてしまいます。

悪性リンパ腫の中で一番多いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse Large B cell Lymphoma:DLBCL)がスパッと6割くらいが治るのとは対照的です。

なので再発を繰り返す方は治癒を目指して同種造血幹細胞移植を実施します。しかし移植には治療関連死という大きな壁があり勇気と覚悟が必要です。

濾胞性リンパ腫と診断された方の治療方針はひとまず限局期か進行期かで変わります。

造血器腫瘍診療ガイドライン参照
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/index.html

限局期か進行期かは以下の図の通りです。

NPO法人日本統合医療推奨協会
https://www.togoiryou.com/gan/rinpasyuu/

横隔膜を挟んで濾胞性リンパ腫がいる、もしくはリンパ節とリンパ節以外の臓器(肺や腸など)に濾胞性リンパ腫がいると進行期です。

進行期でもだったら化学療法!というわけではありません。進行期でも腫瘍量が少なければ無治療経過観察だってあります。Watchful & Wait (注意深い観察)という選択肢があります。

造血器腫瘍診療ガイドラインを改編(赤丸でチャンマンが囲んだ)
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/index.html

ね。

濾胞性リンパ腫はやはり勢いがありません。進行期でも腫瘍量が少ない場合(=低腫瘍量)に限りますが、大きくなるまで待っていても、急いで治療を始めても変わらないとされています。どっしり構えてのんびり付き合っていくってイメージがやっぱりあります。

早期再発というありがたくないイベント-POD24-

基本的にゆっくりとのんびりタイプのリンパ腫です。しかし早期再発した場合は危機的状況である可能性が高いです。そのイベントをPOD24(Progression Of Disease within 24 months)と言います。現在濾胞性リンパ腫において最も強力な予後因子、つまり未来を占う情報と言われています。

最初の報告はおそらくこれです。
J Clin Oncol. 2015;33(23):2516-2522.

Patient:濾胞性リンパ腫ステージⅡ以上、リツキサン+アントラサイクリン含む化学療法を受けた患者588人
Intervention:後ろ向き研究のためなし
Comparison:診断から2年以内の再発した群(Early POD) vs それ以降の再発した群(Reference)
Outocome:再発から死亡までの期間

上記のようにPOD24群はnoPOD24群と比べて5年生存率は50%vs90%と明らかに不良でした。

現在ではPOD24の定義が治療開始からとされていることが多いです。

POD24の意義?

早期再発が悪いんでしょ?

それって当たり前じゃないですか?

だから何?私に何しろっていうのよ

はい、そうなんです、そうなんですけど!それをデータとして、事実として認識することが重要なのだと思うのです。

なぜでしょう?

濾胞性リンパ腫は何度もいうように息の長いリンパ腫です。しかし治りにくいという克服すべき性質を持っています。さらに罹患率も多いということから治療成績の向上は僕たちの義務であり試練でもあります。

となると治療成績の向上のために新しい治療戦略が必要となります。そのためにはその新しい戦略を有効というために、今までの治療と比べて優れているということを証明しなければいけません。

治療の目標は生存期間を延ばすことでです。新しい治療戦略で生存期間が延びた、と証明しなければいけません。しかし濾胞性リンパ腫の場合は半分以上の人たちが20年以上生きることができます。なのでその新しい治療戦略が本当に有効かどうかわかるのが20年後とかになってしまう。ということです。

20年!

20年!

一人の赤ん坊がちょうど成人するまでの期間!

日が暮れちゃいます、なんなら時代が回ります。

そんなのんびりやってる場合ではありません。

そこでPOD24の出番ではないでしょうか。POD24を起こしてしまうと生存期間が短くなる、ということはPOD24が起きなければ生存期間が長くなる、と置き換えてしまってもいいのではないか。ということです。

つまり

本来なら生存期間を短くする特徴はなにか、その特徴のある人たちに別の治療法を実施することで生存期間を伸ばせるのではないか。

という新しい治療戦略の開発法が

POD24を起こしやすい特徴はなにか、その特徴のある人たちに別の治療法を実施することでPOD24を防ぐことができるのではないか。

とすることで結果が出るまでの期間を大幅にカットし、新しいアイデアをどんどん試すことができます。中には日の目を見ない研究もあるでしょうが、様々なアイデアがすぐに評価可能となり、成績のスピーディな向上が期待できます。もちろんPOD24による評価は間接的であり最終的には生存期間で確かめなければいけませんが、答え合わせ的な要素が強くなると思います。

すごいですよね。尊敬しちゃう。

ということでPOD24はただ早期再発が悪いということを証明しただけでなく研究の開発スピードの向上に影響を与えている素晴らしい概念と言っていんじゃないでしょうか。

現在はPOD24を使ってガザイバの有効性、初診時PETにおけるSUVmaxや血中DNA量についての報告がされています。また、紹介できればと考えてます。

今回は以上です。ではでは